妊娠初期から出産までの流れやトラブル

妊娠中の出血


流産の原因が赤ちゃん側にあることが多いのに対して、早産はママ側に原因があることが多いようです。お腹が張ると同時に痛みや出血があるときは、切迫早産の恐れもあるのでなるべく早く受診しましょう。

妊娠中の出血の特徴

まず出血の色や量などを確認

妊娠中は、子宮の血液が増えるため、ちょっとした刺激で出血することがあります。ふだんより出血しやすい状態になっています。実際、妊娠中に出血したことがある妊婦さんは、全体の8割近くいるようです。
出血したら、まずは出血の色や量などを確認してください。下着が少し色付く程度の少量の出血ならそこまで心配ありませんが、妊娠初期の出血や、中期以降でも出血が2~3日続く場合はすぐに受診しましょう。だらだらと出血が続く場合は、トラブルの可能性もあります。

妊娠初期の出血について

妊娠初期に出血
妊娠全期間を通じて出血は心配な症状ですが、11週ごろまでの妊娠初期に出血に気づいたら、まず流産を疑ってすぐに受診してください。流産が進行していれば、残念ながら食い止めることはできませんが、早めの処置が母体のために必要です。ただし、出血があっても、超音波検査で赤ちゃんの心拍動が確認されれば 切迫流産と診断され、流産に至る心配は少ないです。そのほか、数は多くないものの、初期の性器出血の心配な原因としては、受精卵が子宮の中以外の場所に着床してしまう 子宮外妊娠、子宮の入り口部分に着床する 頸管妊娠、胎盤のもとになる絨毛組織が子宮内を満たしてしまう 胞状奇胎などがあります。いずれも妊娠の継続は不可能で、流産の場合と同様、母体のために一刻も早く処置することが大切になってきます。

妊娠中期の出血

胎盤が完成して妊娠が安定する中期以降も、出血には注意します。例えば、初期の流産の原因は胎児の染色体異常などがほとんどなのに対し、子宮頸管無力症(子宮の入り口が自然に開いてきてしまう体質)など、母体の側の原因による流産や早産があります。また、そうなりかかっている切迫流産切迫早産の場合は、出血が見られても、早く治療を開始すれば、流産や早産を食い止めることができるケースも多いです。

妊娠後期の出血

妊娠後期には、胎盤の異常による出血もあります。まず、通常、子宮の上のほうにある胎盤が子宮口をふさぐ位置にできてしまった前置胎盤の場合、胎盤と子宮口とがズレて、大出血を起こすことがあります。また、胎盤の位置は正常なのに、突然子宮壁からはがれてしまう常位胎盤早期剥離があります。はがれる位置によって、大出血のこともあれば、子宮内に大出血しているのに外に出てくるのは少量のこともあります。おなかがかたくなったり、強い痛みがあるのが特徴です。

常位胎盤早期剥離図解

産院に連絡するとき

産院に連緒を入れるときは、以下の項目についてメモしておくとスムーズです。


●いつから始まったか?
●現在の出血の状態はどうか?
●出血の色は?
●どのくらいの量か?
●おなかの張りや痛みはあるか?
●ほかに、症状はあるか?

妊娠中の出血の様子と原因

切迫流産、流産

出血は薄いピンクか茶褐色。流産が始まっているときは、大量の鮮血。出血とともに、おなかの張りや痛みがあることもあります。

切迫早産、早産

暗赤色で少量の出血。おなかの張りをともなうことも。なお、出血がないこともあります。

常位胎盤早期剥離

子宮内に大出血しているのに外に出てくるのは少量のこともあります。外出血がある場合は、鮮血。おなかがかたくなったり、強い下腹部痛をともないます。

前置胎盤

大量の鮮血。たいてい、おなかの張りや痛みはともないません。

ごく少量で、鮮血。切れ痔なら痛みをともない、いぼ痔なら痛みはありません。

内診時の刺激

ごく少量の出血。出血直後のものは赤く、時間がたったものは褐色。

性交渉時の刺激

下着が少し色付く程度の、ごく少量の出血。出血直後のものは赤く、時間がたったものは褐色。