妊娠初期から出産までの流れやトラブル

妊娠中の薬


妊娠中の薬の服用は、ママの心配事項の一つだと思います。すべての薬が危険なわけではありませんが、基本的に薬の服用には慎重にならなければなりません。

妊娠中の薬について

妊娠初期の薬に注意!

妊娠初期の薬に注意!
病気やつらい症状を治してくれる薬ですが、おなかの中にいる胎児にも影響するということを忘れないでください。とくに妊娠初期は要注意です。赤ちゃんの心臓や脳、神経などが急ピッチで形成される 第4週から第16週にかけては、むやみに薬を服用すると形態異常(奇形)などが起きることもあります。妊娠の可能性がある場合は、薬の服用に敏感になりましょう。とはいえ、一般に薬局で売られている市販薬は、大勢の人にまんべんなく効くようにできていて劇的な効果を期待できない分、赤ちゃんへの影響も大きくはありません。市販薬を用法を守って数回服用したくらいならあまり心配はないでしょう。

薬に注意する時期

※赤ちゃんの各気管ができる主な時期と薬が影響する時期を以下のグラフにしました。妊娠初期の第4週~第16週は薬が赤ちゃんに与える影響が強いので特に注意が必要です。

妊娠中・薬に注意する時期グラフ

妊娠中の体に必要な薬もある

医師の指示を守って服用する
「飲んでしまったけれど大丈夫?」と医師に相談してみると、たいてい「絶対に大丈夫とは言えません」と言われると思います。こう言われるのは「心配がある」ということではなく、薬を飲んでも飲まなくても100%安全な妊娠や出産はあり得ないという意味です。
だからといって、安易に薬に頼るのは考えものです。妊娠中は、自己判断での服用は避けてください。何か症状が現れたときは、まず産科で相談し、必要があれば専門医に、妊娠がわかった上で安全な薬を処方してもらいます。治療上必要があって処方された薬に関しては飲まないことで体調を悪化させることのほうが心配です。指示どおりにきちんと服用しましょう。

処方薬対応表


商品名 処方される理由 注意点
風邪薬 メジコン錠、ピソルポン錠、イソジンガーグル、SPトローチ明治、ブリカニール錠など のどの痛みを和らげるため。激しいせきでおなかが張ってしまうとき、たんがからむときなど、せきを鎮めるため。 発疹などのアレルギー症状が出た場合は医師に相談を。また、ヨウ素にアレルギーのある人や甲状腺に異常のある人も医師に相談しましょう。
おなかの張り止め ウテメリン錠、ズファジラン錠、ダウテル錠など 切迫流・早産の兆候がある場合、強いおなかの張りが頻繁に起こる場合に処方されます。 まれに吐き気や動悸、倦怠感などの副作用が現れることがあります。その場合はすぐに医師に相談をしましょう。
便秘薬 ラキソべロン液、アローゼン、酸化マグネシウムなど 食事や生活習慣を改善しても便秘が治らない場合、排便を促すために処方されます。つわりを軽くする目的で処方されることもあります。 大量に飲むと、腹痛や子宮収縮を起こすおそれがあります。医師の指示による用法・用量は必ず守りましょう。規定量で下痢をした場合、医師に相談をしましょう。
下痢止め ロべミンカプセル、ビオフェルミンR、ラックピー微粒など 症状の重い下痢が長引き、体力消耗や脱水症状が現れたり、子宮収縮を起こしそうなときに処方されます。 おなかが膨れる感じがしたり、発疹が現れたら、すぐに医師に相談しましょう。
止血剤 トランサミンカプセル、アドナ錠など 主に初期の切迫流産や、子宮腹部びらんなど出血のあるときに、止血目的で処方されます。初期以降に出血を減らす目的で処方されることもあります。 まれにアレルギー症状や下痢、胸やけ、吐き気などの副作用が現れることがあります。その場合は医師に相談しましょう。
下熱・鎮痛剤 カロナールなど 38.5度以上の高熱、ひどい頭痛が長引く場合に、体力消耗や赤ちゃんへの影響を防ぐために処方されます。 妊娠後期に大量に服用すると赤ちゃんの動脈管が収縮するおそれがあるので、医師の指示を守りましょう。妊娠前から使用している薬があれば、継続使用可能か医師に相談をしましょう。
痔の薬 ネリプロクト坐薬、ネリブロクト軟膏、強力ポステリザン軟膏など 出産時に痔が悪化する恐れがある場合、痔による痛みや出血があるときに処方されます。 薬に頼るだけでなく、食物繊維の多いものを食べるなど、食事にも気をつけて便秘、痔を防ぎましょう。
胃腸薬 アルサルミン細粒、ガスターD錠、マーロックス懸濁内服液など 胃痛や胃のむかつきを抑えるために処方されます。 赤ちゃんへの影響はありませんが、まれに気分が悪くなることがあります。その場合は医師に相談をしましょう。
かゆみ止め 強力レスタミンコーチゾン、コーワ軟膏、レスタミンコーワ軟膏など 妊娠中は肌にかゆみを感じることが多くあります。かゆみや炎症がひどい場合、緩和するために処方されます。 副作用の心配はありませんが、薬が合わないとかゆみが悪化することがあります。その場合は医師に相談しましょう。
花粉症の薬 アレギサール錠剤、インタール点眼液など 花粉症で目や鼻のかゆみ、鼻水などの症状がつらいとき、必要に応じて処方されます。花粉症以外のアレルギーに対して処方されることもあります。 点鼻薬を長期使用すると粘膜を傷つけることがあるので、医師の指示を守りましょう。産婦人科以外で受診するときは、必ず妊娠中であることを伝えましょう。
抗生物質 ビウシリン錠、フロモックス錠、パンスポリンT錠、パナン錠、サワシリン錠など 肺炎や膀胱炎などにかかった場合や傷口が化膿した場合、原因菌の繁殖を抑えて症状の悪化を防ぐ目的で処方されます。 医師の指示のもと、短期間で少量の服用を守りましょう。
漢方薬 葛根湯エキス細粒、小青龍湯エキス細粒、柴苓湯、エキス細粒など 発熱やせき、頭痛など風邪の諸症状が赤ちゃんに影響しそうな場合に処方されます。 穏やかな作用のものが多いものの、成分によっては大量に飲むと赤ちゃんに悪影響がある場合もあります。医師の指示を必ず守りましょう。



サプリメントやビタミン剤にも注意が必要

サプリメントやビタミン剤にも注意が必要です。ビタミンA・Dは脂溶性ビタミンで体外に排出されにくいため、過剰摂取すると、胎内にたまり、赤ちゃんに異常を起こすことがあるといわれています。妊娠中はこれらのサプリメントを多く摂取することは控えてください。

妊娠中の薬との付き合い方

薬箱を整理する


妊娠したら薬箱の整理を。以前もらった処方薬の残りは処分し、市販薬でも「妊娠中は服用しないで」と但し書きのあるものは要注意です。

飲む前に医師に相談する


市販薬を服用する時は、事前にかかりつけの産婦人科に一言、相談してみましょう。説明書など成分が分かるものを持参すると安心です。

飲んでしまったら医師に報告する


症状と薬の服用時期や日数、薬の名前を医師に報告しましょう。妊娠経過を注意深く観察し、もし必要なら検査を受ける場合もあります。