つらかったつわりもおさまり、安定期に入ります。心身ともに快適なため、食欲も増してきます。つわりの反動から、強烈な食欲が起こる人もいると思います。これは生理的には自然な現象ですが、気分のままに食べていると、あっというまに体重増加、ということになりかねません。栄養はしっかりとりながら、カロリーはおさえめ、というのが、これから必要になってきます。間食は特に注意しましょう。
出産時の赤ちゃんの平均体重は3200g前後です。胎盤と羊水などを合わせても4~5kgになります。子宮や乳房が大きくなる分が3~4kgです。妊娠・出産に必要なエネルギーとしての脂肪が3~4kgとして考えても、合計12kgが妊娠中の体重増加の限度です。そうすると、1ヶ月の体重増加は1~1.5kgが目安ということになります。これ以上の増加は余分な脂肪ということになるので、この数値を頭に入れて体重管理しましょう。栄養は十分、カロリー控えめを心掛けましょう。
市販のお葉子やケーキ、クッキーには意外にたくさんのバターや砂糖が使われています。いくら、ほかでコントロールしても、ケーキやクッキー、スナック菓子を食べていては、カロリーオーバーこなってしまいます。その上、市販の菓子類には、保存料などの食品添加物も含まれている可能性があります。甘いものが欲しくなったら手づくりにチャレンジしてみましょう。時間があれば小豆を煮て小豆あんをつくり、白玉を冷やしてあんをかける、というのもおすすめです。簡単に作れるクッキーでもいいで構いません。
赤ちゃんのために栄養のバランスを考えることは大切です。しかし、食事は楽しく食べることが大切です。どんなに栄養のある食事でも、いやいや食べていては何にもなりません。まずいと思って食べると、消化液の分泌が少なくなり消化吸収も悪くなってしまいます。これでは、せっかくの栄養も効果半減ということになってしまいます。
昼食を友人と食べるのもいいし、たまにはパパと外食するなどして気分転換をしましょう。食事はおいしく食べる。それを心がけ、妊娠中を楽しく乗り切りましょう。この機会に料理を習うのもおすすめです。
子宮が大きくなるにつれて、腸が庄迫されるので、妊娠中は便秘に悩まされる人が多くなります。できるだけ食事で解決するようにしたいものです。あまりひどい場合は、担当の婦人科の医師に相談しましょう。自分の判断で浣腸や売薬を使わないようにしましょう。
食事に繊維の多い野菜類をたくさん取り入れて、自然な便通をまちたいものです。ほうれん草や小松菜、さつまいもやさといもなどのいも類も繊維質が豊富に含まれています。きのこ類、海草類も食物繊維が豊富な食品です。そのほか、牛乳やヨーグルトなども便通に効果があります。
カロリーが少なくバランスのよい食事という部分で良い点もありますが、日本の食事の問題点は、塩分が過剰になりやすいことです。妊娠中は、赤ちゃんを守るために母体の水分も多くなってきます。塩分を多くとると、よけいに体内に水がたまり、むくみの原因になります。塩分を控えると、体内の余分な水分は排泄されるので、そのためにも薄味を心がけましょう。
1日の塩分量は10g以下に抑えることがポイントです。この10gというのは、調味料だけでなく、食品そのものに含まれる塩分も含めて考えます。ハムやソーセージなどの加工食品に含まれる塩分はかなりの量です。食パンにも塩分が含まれていますし、魚なども微量ですが塩分があります。とくに塩からいものを食べなくても、1日の塩分必要量は足りてしまうことになります。なので、味つけは薄くが基本です。
妊娠するとおなかの赤ちゃんのためにも、カルシウムや鉄分がふだん以上に必要になります。鉄分の多く含まれている食品の代表はレバーです。レバーの中でも、鉄分の多いのは豚レバーです。しかし、調理しやすく、食べやすいのは鶏レバーでしょう。レバー料理のコツは、におい消しです。まず、流水で血を十分に洗い流し、そのあとにおい消しをします。においを消すにはいろいろなものがあります。牛乳、しょうゆ、酒、しょうがなどが効果的です。調理する前に30分から1時間ほどつけておきます。
この時期にふやしたい栄養は、カルシウムと鉄分、ビタミン類です。特にカルシウムは妊娠前の約1.5倍必要になります。ふだん牛乳をコップ1杯(約200cc。)飲んでいる人でも、この時期にはさらに牛乳100cc。とヨーグルト100gをプラスしましょう。これだけカルシウムは約439mgになります。牛乳が飲めない人は、小魚やしらす干しなどを食べましょう。牛乳を料理につかうのもおすすめです。