妊娠初期から出産までの流れやトラブル

分娩


子宮口が全開大になったころ、分娩台に移動します。この直前から、陣痛にいきみたい感じが加わっているはずです。子宮口が全開大になっていても、いきみたくない場合は、いきみたくなるのを待つほうがいいこともあります。

分娩時のいきみ方と医療処置

子宮口が全開大に近づいたら分娩室に移動

陣痛が2分間隔くらいになり、子宮口も9~10cmと全開大に近づいたら、陣痛室から分娩室に移動します。いよいよ、出産のクライマックスになります。子宮口の開きが5cmを超えてから9cmになるまではスピーディですが、ここから10mの全開大まで、子宮口の開き方はゆっくりになります。赤ちゃんが急速に下降し、いきみたい衝動もピークになります。助産師さんが合図するタイミングに合わせていきみます。

分娩時のいきみ方

いきみは、陣痛の波に合わせて赤ちゃんを押し出すよう、力を込めることです。力のかけ方は、便を出すときのような要領です。陣痛がやって来たら助産師さんの合図に合わせて、まず大きく2回深呼吸をします。3回目に息を吸ったところで止めて、「ウーン」とできるだけ長く、大きくいきみます。途中で苦しくなったら、すばやく息を吸って、またいきみを続けます。陣痛の波がおさまってきたところで、大きく探呼吸をします。
波が去り、いきむのをやめるように指示が出たら、全身の力を抜いて「ハッハッバッハッ」といった感じで浅く短い呼吸をします。陣痛の波に合わせて、これを繰り返します。

いきむ時の姿勢図解

分娩時の赤ちゃん

赤ちゃんは曲がった産道に合わせて体を回旋させながら出てきます。また、スムーズに通過できるように、頭の骨の継ぎ目を重ねるようにして頭を小さくします。さらに羊水が破水して潤滑油の役目をします。
いきみのときは、ママも一番苦しいときですが、それは赤ちゃんも同じです。お母さんがいきんでいる間、赤ちゃんはストレスを感じています。赤ちゃんのストレスを短時間で切り上げるためにも、効果的にいきみましょう。コツさえつかめば、上手にいきめます。

分娩時の赤ちゃん・図解

座位分娩について

最近、多くの病産院で取り入れているのが、上体を起こした体位の座位分晩です。従来の水平なベッドに寝る体位よりも、いきみやすいのが座位分娩のメリットです。リクライニングできる分娩台で、背中の角度が40~45度くらいが一般的です。

分娩時の医療処置

分娩時の医療処置
分娩を安全にスムーズに運ぶために、さまざまな医療処置が行われます。会陰部の裂傷を防ぐためにあらかじめ切開したり、会陰の傷口から細菌に感染するのを防ぐために剃毛したりします。しかし最近では、習慣的にすベての医療処置を施すのが当然ではなくなり、状況をみて医師が判断するケースもあります。また、事前にバースプランを受け付けて、医療処置についての希望を受け入れてくれる病産院もあります。

会陰切開


腟口と肛門の間の部分「会陰」を医療用ハサミで切開することです。会陰が柔らかくなって十分に引き伸ばされる前に赤ちゃんが出てきてしまい、会陰が裂けるトラブルを防ぐためのものです。分娩の直前に局所麻酔をして切開します。

剃毛


会陰部の陰毛を剃ること。陰毛についた細菌が会陰部の傷に感染するのを防ぐためと、縫合や消毒をしやすくするのが目的です。分娩室に移動してから助産師や看護師が行います。剃らない場合は自分で短くカットしておくこともあります。

浣腸


腸内の便を人工的に取り除くこと。直腸は子宮の後ろにあり、便を取り除くと陣痛が強まります。便が産道を圧迫するのも防げます。

導尿


便と同様、膀胱に尿がたまっていると赤ちゃんがおりてくるじゃまになります。陣痛が強くなってトイレにも行けなくなった頃に、必要なら処置されます。

血管確保


大量出血をすると血圧が下がって点滴ができなくなるので、あらかじめブドウ糖などの点滴をします。もしものときのための血管ルートの確保にもなります。