妊娠初期から出産までの流れやトラブル

切迫早産と早産について


切迫早産とは、まだお産が始まっては困る時期にも関わらず、お産になろうとすることをいいます。横になってもおなかの張りがおさまらないことも、兆候のひとつです。

早産・切迫早産の兆候と原因

切迫早産とは

切迫早産とは
22週以降37週未満で、おなかが張る、子宮口が開き始める、子宮頚管が短くなるなどの症状が見られ、早産の兆候があるが、安静と治療によって妊娠を続けられる状態を切迫早産といいます。早産の多くは、ウイルスや細菌による感染症で子宮に炎症が起こることが原因です。また、それ以外の子宮のトラブルやママの体に疲れがたまったりすることも、早産の原因となりえます。
切迫早産のいちばんの治療は、安静にすることです。自宅で安静にするのが難しい場合は、入院したほうがよいでしょう。

早産・切迫早産の兆候

早産・切迫早産の兆候のおもなものは、以下のの4つです。これらは、妊娠12週以降の流産・切迫流産の場合も同様です。妊婦さんが自覚できることもあるので、見逃さないようにしましょう。

●性器出血


出血の原因が子宮収縮である可能性もあります。早産・切迫早産や流産・切迫流産を心配させるほどの子宮収縮ではないこともよくありますが、自己判断は禁物です。なるベく早く診察を受けてください。

●下腹部痛・おなかの張り


子宮が収縮すると痛みを伴ったりおなかが張ってかたくなったりします。妊娠中期以降は、だれでもある程度子宮が収縮することはありますが、しばらく安静にしていれば治まるものです。治まらずに何度も繰り返したり、張りや痛みがだんだん強くなるようなら受診しましょう。

●前期破水


早産(流産)につながることが最も心配な症状が、妊娠37週未満で起こる破水です。これを前期破水といいます。破水すると子宮収縮を促すプロスタグランディンという物質が生成され、自然に陣痛が始まり、早産になってしまいます。一刻も早く受診し、処置を開始しなければいけません。

●子宮口の開き


順調な妊娠経過では、子宮口はお産が近づくまでかたく閉じています。それが開きかけているというのは、早産が心配な状態です。しかし、これは妊婦さん本人が自覚できる症状ではなく、内診によって調べます。

早産の原因

子宮筋腫も早産の原因に子宮筋腫も早産の原因に
早産の原因のトップは、子宮内感染です。細菌やウイルスが子宮頚管や胎盤から侵入し、子宮内に炎症が広がると、卵膜が破れたり、子宮収縮を起こすことがあります。これは子宮内の環境が赤ちゃんにとってよくないことから、早く安全な場所(外界)に出してあげようとする働きです。
妊娠高血圧症候群心臓病などの合併症があるときも、症状が進むと、お母さんの体は早く赤ちゃんを外に出そうとします。このほか、 多胎妊娠などで子宮内が早めにいっぱいになったときや、 子宮筋腫などで子宮が十分に大きくなりきれないようなときにも、早産となることがあります。また、子宮頚管の筋力が弱く、お産が始まらないうちから子宮口が開いてしまう「子宮頸管無力症」が原因のこともあります。早めに発見できれば、わかった時点で子宮頸管をテープでしぼる処置を受けることになります。しかし、これには自覚症状がないため、徴候に気付いたときはすでに子宮口が開きかかっているということもあります。
切迫早産の予防と治療

早産を予防するポイント

●疲れをためない


過労から、おなかの張りを引き起こすこともあります。疲れたら休み、睡眠もたっぷりとりましょう。

●ストレスをためない


ストレスがたまると、おなかの張りの原因になります。上手に気分転換をはかってください。

●人込みを避ける


人込みの中に長時間いると、風邪などのウイルスに感染するおそれもあります。

●おなかに力が入る動きは控える


急に重たいものを持ち上げたりするような、おなかに力の入る動きには注意しましょう。

●無理な性交渉をせず、清潔を心掛ける


性交渉での深い挿入やおなかを圧迫する体位、乳首への刺激は控えましょう。また、清
潔に留意し感染が心配なら、コンドームを使用します。

●妊娠高血圧症候群を予防


妊娠高血圧症候群になると、早産の可能性が高くなります。体重を増やさず、塩分を控えめにします。

切迫早産の治療

切迫早産(12週以降の切迫流産)の原因がハッキリしていれば、それに応じた治療や処置を行います。また、多くはおなかの張り(子宮収縮)を伴っているので、それを抑えるウテメリンなどの子宮収縮抑制剤を、点滴または内服で投与することもあります。そして、何よりも重視されるのが、安静です。破水している場合はもちろん、出血量が多い、子宮収縮が強い、子宮口が開き気味など、症状が重い場合は入院して安静を保つことが必要になります。自宅での安静が指示されたときは、医師の指示を守って無理をしないようにします。

自宅安静

日常生活の一部を制限しつつ生活することで症状の改善が望める場合、自宅安静になります。安静の度合いは、症状によって大きく2つのレベルに分けられます。

医師に確認すること


●起きていてよいか
●トイレへの移動は大丈夫か
●シャワーを浴びていいか
●湯船に浸かっていいか
●食事の準備はできるか
●掃除や洗濯はできるか
●仕事を続けるのは可能か


入院安静

●絶対安静


食事もベッドの上でとり、トイレも病室内で済ませます。一日中ベッドの上で過ごします。

●症状に合わせて歩行できる場合


症状に合わせて、トイレや洗面所への移動が許可されることがありますが、ベッド上で過ごすことが基本。