妊娠中のお腹の張り
時々お腹が張ること自体は生理現象なので、心配はありません。ただし、流産・早産などのトラブルの前兆の場合もあります。初期に限らず、妊娠中には注意したいサインです。
お腹の張りの症状について
しかし、その感じ方は十人十色で、パンパンに張った風船のように感じる人、お腹が突っ張った感じがする人、重苦しく感じる人など、いろいろです。初産婦さんはとくに「張り」の感じをイメージしにくいかもしれませんが、日ごろから自分のお腹の感触を知っておくと、張ったときに違いがわかると思います。
お腹の張りの原因
お腹の冷え
お腹が冷えると、膀胱も収縮してトイレが近くなります。子宮も同じ筋肉でできているので、張りを感じることも。
お腹の締め付け
腹帯やガードルでおなかを締め付けていると、張りを感じることがあります。
疲れ
長時間歩き回ったり、立ちっぱなしだったときなどは、お腹がよく張ります。
オーガズム
オーガズムを感じたとき、お腹がかたくなったり、張りを感じることがあります。
便秘
便秘がひどくなると、お腹の張りを感じることがあります。
ストレス
ストレスが原因で、お腹の張りを感じることもあります。張りには精神的な影響もあるのです。
生理的なお腹の張り
お腹の張りには、生理的なものと、異常につながる病的なものとがあります。妊娠24週を過ぎるころから、お母さんが長時間動いたり、おなかの赤ちゃんがよく動いたりしたときに張るようになるのは生理的な張りです。さらに後期になると、神経が興奮しやすくなったり、筋肉も緊張しやすくなるため、張る回数も増えてきますが、横になってしばらく休んでおさまるようなら心配いりません。また、子宮の収縮とは別に、大きくなった子宮が腸や膀胱など、まわりの臓器を圧迫することで生じる張りや、悪化した便秘が原因の張りもあります。
心配なお腹の張り
一方、心配な張りは、安静にしてもおさまらなかったり、一定の間隔で周期的に続く場合です。目安として、30週以前なら1時間に3回以上、30週以降なら1時間に5回以上張り
があり、安静にしてもおさまらないようなら、念のため診察を受けたほうがいいでしょう。お母さんが妊娠高血圧症候群などの合併症にかかっていたり、腎臓病や糖尿病などの持病がある場合は、切迫早産になりやすい傾向があるので、張りがすぐにおさまっても、頻繁にあるときは要注意です。
絨毛羊膜炎
これは腟炎などがきっかけになり細菌が腟から子宮頸管を伝って、赤ちゃんを包んでいる卵膜に感染し、炎症を起こすものです。これが刺激になって、子宮を収縮させたり、陣痛が始まらないうちに破水してしまう( 前期破水)といった早産の徴侯の原因となります。
頻度は少ないですが、突然、おなかが板のようにかたくなり、激しい痛みをともなったときは、赤ちゃんよりも先に胎盤がはがれてしまう「 常位胎盤早期剥離」を起こしていることも考えられます。
お腹の張りの8割は心配のないもの
「お腹の張り」のすべてが流・早産につながるものではありません。「張ってるかな?」とお腹にばかり神経を集中させていると、いつもはまった心配・トラブル気にならない排尿後の膀胱の収縮などまで感じ取ってしまうということもあります。
ただ、張りの8割は心配のないものといわれています。しばらく安静にしていてもおさまらなかったり、出血や痛みをともなったりしないかぎり、気にしすぎないでください。とはいっても、たとえ心配ない張りでも、それが頻繁に続いて、その状況を放置していれば、心配な張りにつながる可能性はあります。その場合は、注意が必要になります。
妊娠後期はお腹が張りやすい
お腹の張りの予防
●疲れたら休む
疲れたときは、自分の体力を過信せずに休むことが何よりです。とくに仕事を持っている人は、休憩時間にはできるだけ体を休めるよう心がけましょう。同時に、精神的にもリラックスして過ごせるよう、ストレスをためないことも大切です。
●体を清潔に保つ
腟炎などにかかると感染を起こしやすくなるので、体を清潔に保ち、おりものが増えたら早めに医師に相談してみましょう。
●性交渉時に張りを感じたら中止
オーガズムを感じたり、乳首への刺激を受けたときに、子宮収縮が起こりやすくなります。そのときの張り自体は危険なものではありませんが、その張りがいつまでも続くようだと心配な張りへ変わっていくおそれもあります。張りを感じたときはいったんやめて、少し様子を見るようにしてください。